茶羽連盟狂想曲

 このところ、家に、茶色い羽根のニクい奴、汎用虫型決戦兵器GOKIBURIが出ます。現在僕は殺虫剤やホイホイなどの武器を所持していないので、放っておいている有様ですが…。観察の結果、隣家と僕の家を行き来しているらしく、恐らくは元々隣家の子だと思うのですが最近僕の家という遊び場も見つけたのでしょう、僕の家だと押し入れか風呂場が彼のお気に入りスポットのようで、たまにGOKIGOKIとした動きでいるのを見かけます。そうして、ベランダ経由、あるいはどこぞの穴経由かもわかりませんが、故郷である隣家に帰ってゆくようです。一度、ベランダから帰ってゆくGOKIを見送ったことがあります。
 このGOKI、なかなか儀礼を心得ているようで、あまりうるさい自己アピールなどなく、さほど姿をあらわしません。この間は押入れにひっそりと、その細くて長い触覚などをふるふると震わせ、黒光りしつつ佇んでいましたし、先日は、僕が寝静まる頃に気付くとこっそりカサカサと廊下を渡っていました。礼儀を知らない若者が増えた、などと評される昨今にしてはなかなか珍しい、そのような慎ましやかな振る舞いを見せるGOKI…。そんな姿を見るにつれ、GOKIに抱いていた偏見が徐々に氷解し始め、今では彼(あるいは彼女)に心を許し始めている自分がいることすら僕は感じています。そう、我が家の一員として、名前とか、つけてもいいカナ?と思ってつけてみたくらい……。ちなみに名前ですが、ゲレゲレがいいかな、って思ったのでそう呼んでいます。ちょっと可愛らしいその名前はドラクエから取ってきたのですが、ちなみに、当のゲレゲレは、僕が彼あるいは彼女に心を許しつつも心中密かに殺虫剤・バルサン・ホイホイといった殺戮用兵器の購入を検討し、殺害計画を練っていることをきっと知りません。生きるってサスペンスですよね。