犬は吠えるが日記は進む

 旅行記を書こうと思っていたのに、書こうとするとあまりに大変そうだったので吐き気とか眩暈がしてきたから(実話)、文字通りのリハビリ日記を書きます。


 日記力を養う旅に出るため更新ができない、と前回の日記で書いたのは、人間存在がよく吐きがちな嘘というやつで、実際は、単なる旅行でインターネットから隔絶された場所に行っていたため更新ができなかったのでした。ウサギさんが寂しいと死んでしまうように、僕はインターネットがないと目に見えて衰弱ぶりを発揮する体質です。僕を殺すに刃物はいらない、ただネットの接続を切ればいい、と一部で噂されるほど重度のインターネット見たい見たい病を患っている我が身としては、旅行中の生命維持に問題が発生するのではと危惧されていましたが、現代は携帯という素晴らしくてナイスチョイスなマシーンでネットを見ることができたりもする時代ですから、なんとか生き永らえる事は可能でした。たとえば電車内やバス内では、携帯電話の電源をOFFにすべきである、とはよく言われていることですが、仮にそれ以外の場所で(また特に携帯電話の影響を受ける方が近くにおらず)僕が近くにいる場合は、あなたの携帯電話の電源はONにしておいてください。だって、ネットは僕の血管のように思えますし、僕の魂は通信データに乗って血液のようにネットワークを循環し、そのことが僕を生かす気がするのです。だからせめて、あなたの携帯から…ネットを見ることができる可能性を消さないで…僕を殺さないで…。いやまあその前に僕が自分の携帯からネットを見ますが。


 このように、携帯電話からのWebブラウジングは、インターネットの普及に伴った新世紀の病魔――インターネット中毒――が起こす発作の軽減にとって大いなる福音であり、技術の進歩及びインフラの整備は重篤な中毒者を日々救って止みませんから、これはなかなか、極めていい時代になったと言えるでしょう。

 が、しかし、それも対症療法に過ぎないのかもしれません。どのみち、ネットを見ているのですし…。ことに、重度のインターネット中毒のみならず、ニコチン中毒――最近僕は、諸事情により禁煙を試みたり試みなかったりしているのですが、禁煙時のニコチン中毒はマジで存在することに気がつきました。なかなか眠れないし、眠ったら眠ったで、虫が身体にポトリと落ちてくる錯覚により夜中叫びながら目を覚ましたりとか…――と日記中毒も併発するような者(僕)にとっては、実はすでにクリックのひとつひとつレベルが冥土への一里塚かもしれず、また、携帯電話ネットによる一時的な生命維持だって、結局、麻薬的なもので、破滅へのカウントダウンの一部でしかないのかもしれないです。となると、この日記だって、何か大切なもの*1を削って書いているということになるのかもしれないし、そういえば、今、ものすごく体調も悪くて、なんだかそろそろ、あぶないのかもしれない…。




 ところで、僕の性格や日記性向を熟知している方なら、今日の日記を思い切って意訳してみれば、実は、「ネットがどうこうというよりもう仕事したくない。帰りたい」という風に読めたりもするはずなのですが、それがわかる方々には僕マニアの称号をお送りしたいところです。アイラブユーオール。

*1:汎用性の高い抽象的な表現