妖精の翼:僕の背中には羽根がない

 き、今日もいい加減なことしか、書かないんだからねっ!

 という感じのツンデレ口調も覚めやらぬ今日この頃、ランランランランドセルは、テンテンテン天使の羽根、というCMソングが天の板アカシックレコード記載事項か、あるいは、かつて僕に捨てられぬよう、おもねるように追いすがってきたあの数々の女性たちのような閉口するべき強硬さでもってマイ耳から離れないことは一億総周知の事実なのであるが、だがしかし、ここではやはり我々はそういった「ランドセル」と「羽根」との共犯関係をこそ今日的問題として真摯に向き合い超越するべきなのだし、あと、よく考えてみればラカンだかダカランだかドーベンウルフに乗ってるっぽい名前のえらい人が言っていたような文脈におけるそれではなく、まったくごくごく普通の意味でもって僕に追いすがってきた「女性は存在しない」のであって、要するに追いすがってくるような女の人など端からいませんでした、いませんでした、いませんでした、に決まっており、それでもってどちらかといえば僕こそが女性に醜く追いすがってばかりいる人間であることは今日的問題としてはあまりに瑣末なことなので触れなくても良いと思う。というか触れるな。


 話が逸れました。そんな前置きはさておき、こんにち、ランドセル業界には2台巨頭が存在するようです。すなわち、「天使の羽根」の他にも、「妖精の翼」というのがあり、皆さんご存知かもしれませんが、一部ファンの間では強迫的にCMをリピート再生しなくてはおさまらないという奇病が発生しているようです。そういや僕も奇病に罹っているので、じつに奇遇ですね。

 言わずもがな、「天使の羽根」「妖精の翼」の共通点は「翼」です。そう、ランドセルを背負った子供は翼の生えた存在、すなわち天使あるいは妖精のようなものである、という一種の比較的緩やかな社会通念ないし病的な思い込み(主にペドフィリア方向の)によって、商品がまさしく飛ぶように売れるべく「羽根」「翼」が商品名に冠されているのであろう、というわけですが、後者「妖精の翼」の身体性に訴えかけるシャーマニックな舞踊スタイルは特に、ある種の禍々しさというか呪われた部分というか高度資本主義経済社会における余剰を体現しており素晴らしいのです。が、そんな取ってつけたような理由を持ち出したところで、CMでストレートに「子供の天使性」を称揚する「天使の羽根」のほうがまあ明らかに売れるのはいたし方がないところかと思いますし、なにより今しがたの天使性うんぬんといういい加減な記述を全く考慮に入れなかったとしても「天使の羽根」のが売れそうです。だって別にCMも変じゃないし、人心を惑わせないし…。だいたい、欧米中心主義≒キリスト教的支配体制を象徴する「天使」を後ろ盾とした「天使の羽根」に対し、ウェールズあたりでしあわせになれる魔法のキノコ喰って遊んでそうな「妖精」が象徴ではあまりに分が悪い。もっと、ティンカーなんちゃらとか、かわいい妖精をイメージするような方向にいけばいいのに、当方完全プロ志向、ってことで、かわいくないハードコアーな妖精を表現しちゃったんですね、きっと。「妖精の翼」を作っている会社、カザマランドセル社は、自社サイトもおっさんが思いつきで作っちゃいました系のてきとうなつくりで初期衝動突っ走り型のスタイルだし、なかなかパンキッシュなところは好感が持てるのですが…。いかんせん、シャーマニックな動きと売上は結びつかなさそうなところが残念なところ。かくなるうえは、ウェールズ繋がりでスーパー・ファーリー・アニマルズ好きのタナソウなんかに取り上げてもらって、そろそろ親となる年頃の、ブルーにこんがらがったベッドルーム世代へアッピールするほかないのでしょうか……。


 とはいえカザマランドセルのサイトには、出演者に対しその分のギャランティが払えなかったのでは?と邪推も働く勢いでなぜか脱力風イラストで描かれている「妖精の翼壁紙」などのスペシャルコンテンツに加え、あの踊りをマスターできる妖精の翼 ばさばさ レッスン教室なるキラーコンテンツも近日公開とされていることから、巻き返しを図る妖精の翼側も本気でありランドセル業界の覇権争いは予断を許しません。っていうか、ばさばさダンスちゃんとおぼえたいです。この、「ばさばさつばさ」の動きをしながら、べ、別にアンタのために毎日がんばってるんじゃ、ないんだからねっ!という感じで、いつだっておかしいほど夫と妻がツンデレツンデレられ生きるのさするのが目下我が家のブームでございます。ああ忙しい。