でも本当に大事なキスなら僕しか販売してない

 ぼくの夏はどこいった?ウェアズマイ夏?と二回繰り返す戯れを言ってみた時ふと思ったのは、近頃涼しくなったなあということで、つまり夏は終わりぬと、そういうことだった。もう八月も終わるのであり、クーラーをかけずともそれほど不快ではなくなった。というかそれってありえないですよね、だって何もしてないっすよ?ちなみに、今の、ありえないですよね、という記述は心ある方々なら藤本美貴の声を想定して読んでくれたことと思うけれど、夏が終わるというのがどれくらいありえないかというと、藤本美貴が眉根をすこし歪ませつつ半笑いで「ありえないですよね」って言う時くらいありえないと認識して欲しい。つまり夏が終わる件に関しては美貴様もお怒りだと思って欲しいわけだが、ああ、それにしても夏ってやつはどうしてこんなに性悪なのか。テルミー、教えてくれないか。自分は物理的な暑さは大嫌いなので夏の時期は勘弁して欲しいのだけど、イメージとしての夏、遠い昔二ヶ月前の夏の日の君は自転車泥棒だったとか、ナインティナインスリーに恋をしてオー君に夢中だとか、サーフパワーポップだとか、サマーパーティでチュッチュ期待しちゃうわ、などといった「夏のイメージ」に関してはたいそう好きで惹き付けられてしまう。であるが故に、夏っぽいこと自体はウェルカム、むしろ進んで夏へダイブしてやろうじゃないの、という気分になったりするのである。自分は夏は嫌いだ嫌いだと毎年言っているが、暑ささえなくなれば素晴らしい季節なんだと思う。夏っぽいことをしたいなあ。要するに海とか行ってねー、夏休みも無ぇ、っつうかあるのかわからん、花火も打ち上げてないよ、という壊滅的状況に自分が立たされている上に、さらに今まさに仕事とかいう奇妙な生き物のせいで某所に幽閉・軟禁されている最中だものだから本当に寂寥感溢れ、夏を欲して日記を書いているというわけなのであった…。
 ところでさっきから日記に妙に片言の異人語というか英語が混じっているのだけど、別にルー大柴にかぶれたわけでもなくて、僕がうっかり陥ったビジネスマン世界とやらはそういう言葉遣いの人間がけっこういるからたまに伝染してしまうだけである。こないだ「まあそういうプロトコルを設定した上で御社と弊社がウィンウィン(Win-Win)の関係を築けるなら我々もウェルカムですわ」みたいな言葉を素面で言っている人がいて面白かったよ。ばいばーい。