旅行レポート:2

二日目
二日目は長谷〜江ノ島というルート。小坪から鎌倉駅へとバスで向かい、江ノ電で移動。江ノ電江ノ電なのに恐ろしく混んでいて、ぎゅうぎゅうだった。相変わらず電車の窓から普通に民家の様子を見ることが出来たりする、変な電車だなあと思った。
●長谷
・文学館
http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/bungaku/
 「鎌倉文学館は、鎌倉にゆかりのある文学資料や文学者(夏目漱石芥川龍之介川端康成大佛次郎与謝野晶子高浜虚子小林秀雄をはじめ300人以上の小説家、歌人俳人、評論家などの文学者)の著書や、原稿、愛用品などを収集保存し、展示しています」という場所(公式サイトより抜粋)。原稿、夏目漱石のなんかは結構字が読みやすかったけど、中には何という文字を書いているのかさっぱりわからない原稿も多くあり、これを編集・校正したりする人は大変だったんだなあ、という感じだった。印象に残ったのは、高浜虚子だったかなあ、彼が自分の子供達に宛てた手紙が展示されていて、その手紙、「さよなら。グードバイ。」という言葉で締めくくられていたのだけど、それがちょっと格好良かったなあ。
 また、特別催し物として「立原正秋企画展」っていうのをやっていて、彼の生原稿なども置いてあったのだが、一番面白かったのは彼が友人に借金を申し込む手紙の文面だった。その文章の四分の三ほどはひとしきり、借金をしようとしていることを恥じ、言い訳し、といった恐縮そうな言葉が続くのだが、後、唐突に「“とにかく”金を貸してくれ」という必殺の展開で締められている名文だった。金の無心はかくあるべし、という気概を感じ、借金の時の参考にしようと思った。参考にせざるを得ない時が永遠に来ないことを僕は望んでいる。

吉屋信子記念館
http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/sgakusyu/yosiya.htm
 吉屋信子が晩年に過ごした自室を記念館として公開している、というもの。さっき書いた立原正秋もそうなんだけど、この人の本も読んだこと無いなあ。最近出てる「吉屋信子乙女小説コレクション」なんかでは嶽本野ばらが解説とかしてるみたい。へえええ。と、別に僕の趣味というわけではないんだけど、一冊くらい読んでみようかな、と思った。
 長谷へ戻り再び江ノ電に乗車、一路江ノ島へ。


江ノ島
江ノ島内部
 江ノ島駅へ着き、歩いて江ノ島大橋を渡ると、そこが江ノ島。今まで深夜にしか上陸したことがなかったので、昼間の江ノ島ってこんなだったの?とちょっとびっくりする。真夜中は別の顔だ。
 ご飯を食べた海鮮料理屋がとても美味しかった! 相当並んだけど…。たぶん一時間半くらいは待った。以前、友人と深夜にクルマを運転してその辺りの場所までけっこう幾度も行ったことがあるのだけど、その時も同じ料理屋を暗がりの中に発見し、こんな寂れた料理屋に誰が来るのだろうね、なんて話していたものだ。外観は昼間見ても確かに寂れているし、GWだからこその大盛況だったのだろう。けど、誰も何も、他ならぬ僕がその場所に来てしっかりご飯を食っているのだから世の中わからない。ほんとうに、深夜に見るのと日中見るのとでは印象が違う。同じ場所だったことに気付くまでにちょっと時間を要したくらいだ。ちなみに江ノ島エリアはしらすが名産らしく、生しらすしらす丼などが乱舞するしらすパラダイスとなっていた。江ノ島しらすっぷりは、晩飯を食べようと入ったイタリアンの店でも「E-NO-SHIMA」というベタな名前のしらすピザが出てきた程だ。江ノ島におけるしらす濃度の高さは今回の重要な発見のひとつだったと言えるだろう。あ、あと、猫がたくさんいた。とんでもなくいた。江ノ島の猫は東京や横浜の猫に比べると、ずいぶん野性味を帯びていたように思う。

江ノ島神社〜展望台

http://www.enoshimajinja.or.jp/
http://www.enoden.co.jp/light_house/
 江ノ島入り口から続く参道を昇ると、江ノ島神社へ出る。この日は参道もやけに人だかりで、道の左右には店がぎっしりと並んでいたりちょっとした脇道があったりということで、その様子は何に似ていたかというと、休日の竹下通りに似ていたと思う。ただし、そのむかし加護亜依さんが駆け抜けた竹下通りとは違い、江ノ島で売っているものはしらす煎餅とかなんだけども…。坂道を昇りきると更に石段があり、それを昇りきると展望台がある。展望台がある場所へ昇るためのエスカレーターがあったのだけど、はっきり言って暴利を貪っている値段設定なので元気な人は石段を使った方が良さそう。僕は歩いたけど、あの距離エスカレーターで昇るのに三百五十円は無いよなあという感じ。
 その後、展望台に昇り、近辺を見渡した。僕は高いところが苦手なので、ううう、と少し怖かったが、眺めは流石にいい。展望台の麓では、なんだかよくわからないアカペラグループがイベントをやっていた。そして、展望台の傍にあるカフェでお茶を飲んだ。とてもリラックスした空気を感じ、休日って素晴らしいなあ、と思った。
 一泊で帰る当初の予定だったのだけど、まだ見足りないよね、っていうのでこの日も安民宿に泊まり。隣の部屋に泊まっていた客がうるさかったり、部屋に置いてある雑誌が総じて二年くらい前の古めかしい女性自身(「え!?窪塚クンが叶姉妹と!?」「ベッカム様の素顔!」といった記事が載っていて懐かしかった…)だったり、ここもなかなか印象深い宿だった。

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三日目
 三日目は、前日に行けなかった水族館に行った。
江ノ島
新江ノ島水族館
http://www.enosui.com/guide/index.html

 僕は水族館という場所がかなり好きで、行くとうっとりしてしまう。そのうっとり感を求めて水族館へ行った。この水族館は、リニューアルオープンしたばかり、とのことで、その所為か雲霞のような人だかり…。チケットを買うまでに九十分待ちなどと言われ、うへえ、という感じだった。入場したら入場したで、各水槽の前に、子供、家族連れのお父さんお母さんお爺さんお婆さんなどが殺到しており、戦場の様相を呈していて、人間ってすごいなあという感じ。魚よりも人間を見てる時間の方が長かったような気がする。だが、人海に揉まれまくりながらも、人ほどの大きさをしたサメやホホジロっぽい顔をした強面のサメを観ることが出来たり、チンアナゴや水母、ほか珍しげな魚を観ることが出来たのでとてもうっとりした。満足。また、魚に直で触ることが出来ますよ、というふれこみの「タッチングプール」という場所があり、そこではネコザメやドチザメに触ることが出来たのも良かった。しかしまあ、「タッチングプール」という名前では今ひとつなんなのかよくわからないのであり、これでは集客に問題があるのではという感じだ。ここはひとつ子供用と大人用に分割して、大人用のスペースを“お触りプール”という名前にすれば疲れているおとうさん達も奮起して駆けつけるんじゃないの?その、例えば人魚のコスプレをしたお姉さんなどがいてですね……。っていうところまで貧相な脳内ビジネスモデルを構築したのだけど、それは明らかに何か色々酷いし、怒られそうだよなということにすぐに気付いた。ついでに、こんなことを考える自分の脳味噌も疲れているのかもな…と思った。
 さておき、大変満足した僕は、昼飯を食べるために江ノ島を後にしたのだった。江ノ島ではどこも食事にありつくまでに二時間近く待ちそうな場所ばかりだったから…。っていうわけでグッバイ江ノ島。家に帰るまでが遠足です、と言うけど、まあここが今回の旅行のファイナルだったと言える。なお、今回切実に思ったのは、写真はいくつか撮ったものの、やはり僕自身もカメラを持っていればなあ、ということだった。僕は疎いから何を買ったらよいのやらさっぱりだけど、なんか安いやつでも買おうかなあという感じだ。

・藤沢
 江ノ島から近場の藤沢に移動して、昼飯。釜飯を食した。ちなみに、隣の隣の席に座ったおばちゃんたちが、馬鹿でもちょんでも出来る仕事が云々…と、至って普通に怒られるようなアレな言葉を乱発していたのでこの土地はやばいと思った。

●都内某所
・寿司
 その後、なんやかやで都内某所へ移動し、寿司を食した。回る寿司であったが元は魚屋が始めた回転寿司屋、とのことで、なかなかの美味。考えてみれば、なんだか魚を食べてばかりの旅行だった気もするが、まあそれでいいだろう。

 というか凄く楽しかったよ!