LONDON, Can you wait?

 超近況:ブックオフに本を売りまくったけど1600円にしかならずしょんぼりしたが、次の日同じブックオフで本を買ってしまった。搾取されているのかもしれない。

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●5月6日の日記
・成田 〜 ヒースロー
 早朝目覚め、重い荷物を携え成田空港へ。ここでいきなり余談だが、僕は飛行機というものが苦手であり、どう苦手かというともちろん落ちたら死ぬじゃないか君ィ、落下のことを考えると身の毛もよだつというものだよ君ィ、なんとかしてくれ給えよ飛行機ィ、というのが一番だ。というわけで、僕は昔から、あんな鉄の塊が空を飛ぶなんて、などといった旧態依然としたアンチ飛行機心理を臆面もなく言い放つことができる程度には飛行機文明の恩恵というものを享受したことがない。ゆえに…というのも理由としてあるのだが、今回の新婚旅行が僕にとっては人生初の海外行なのであった。いや、そもそも僕は高いところが嫌いだし、僕がよく見る悪夢のひとつとして落下の夢があるくらいだし、そうそう、時々、エレベーターに乗っててそのエレベーターが落ちてゆく夢を見るんだよね…そんで時々叫び声をあげて目を覚ますことが…と、それはともかく、そんなこんなで、僕が抱える諸々の資質や記憶が自らの身体を刺激し、蹂躙し、その結果成田に着く頃には僕の手にASEが浮かんでいたのであった…。というか誰か対衝撃に絶対の信頼性を誇る、超スーパーバリヤーとかそういうのを開発して数多の移動機関に実装して欲しい。要するにATフィールドみたいに強力なやつで僕を優しく包んで欲しいのである。

 話が逸れた。とにかく、出国の手続きをして(案の定あっさり僕が金属探知機にひっかかりつつ)、飛行機に搭乗。以降11時間、僕らは機上の人となった。機内では日本人の中年一団がひっきりなしに喋っており、眠ることが出来なかったし、けっこう難儀したけれど、英語に耳を慣らそうと思って『ブリジット・ジョーンズの日記2』や、リチャード・ギアギア出演であるところの『Shall We Dance?』といった映画を観たり、本を読んだりして過ごした。英語力が貧困な所為で英語はあんまり聞き取れなかったけど、『ブリジット・ジョーンズの日記2』のオチがひどい、ってことはわかったのが収穫といえば収穫だった。

 なんだか寝てないのでものすごく疲れつつ、ヒースローに着陸。着陸時はお約束で手に汗が浮かんでました。理由はもちろん恐かったから。


・ヒースロー 〜 パディントン
 入国審査のお姉さんの、にわかには信じ難いほどの無愛想さなどにさっそく洗礼を受けたが、留学経験などで英語に覚えのある妻にほとんど頼りどうにかこうにかイギリス入国を果たす。そして地下鉄で宿泊先であるパディントンまで移動。さっそく乗換駅で路線を間違えるなどはしたが、要するにCircleだのDistrictだのCentralだの路線があるようだけど、なんのこたぁねえ、山手線とか中央線とか東京メトロと同じだべ?などといったにわかナショナリズムをイキナリズム的に発揮して心の平穏を保ちつつ、パディントンへ。というかロンドンの地下鉄を真似て日本の地下鉄は造られたのだっけ?とも思ったが、まあ、知らない知らない。辿り着ければそれで良いのである。それにしてもロンドンの地下鉄は、日本と違って車両と車両を結ぶ連結部分を渡ることができるようにはなっておらず、必定、連結部の扉は封鎖されているのだが、そこに注意書きで「開けたら死ぬことがあるよ」って書いてあるのでたいへん親切だとおもう。

Hotel

 さてホテルに着いて、いやホテルというか民宿みたいなものかなあれは、とにかく、そこで英語の訓練の一貫として僕はチェックインをフロントに頼んだのだが、フロントのお姉さんが無愛想に、というよりなんかいきなり妙な日本人が来よったで、みたいな感じで身構えたのかもしれないけれど、何やら呪文のような言葉を喋り出して焦る。しかし考えてみたら、どうやら「朝食の時間はこれこれで、あとカギは部屋のとホテル自体の扉のがあるので、いつ外出しても帰ってきてもオーケーだしまあようけ使えやジャップ」みたいなことを言ってたらしく、あ、いや、お姉さんはジャップとか言ってないし普通の口調だったのだけど、後でなるほどと納得。そして荷物を部屋に置き、それじゃあというので、外出。外出する前に妻が間違えて別の部屋の扉を開けてしまい、どないしたんやワレ?とばかりに、中から、巨躯を携えた若干ヘルズエンジェルズ入ったようなおっさんが現れたのでソーリーと言ってあやまった。びっくりした。


パディントントッテナムコートロード 〜 大英博物館
 パディントンを出発し、『ノッティングヒルの恋人』で知られるノッティングヒルゲートの駅で乗り換え、る際に、僕らはいわばノッティングヒルの恋人だね…などといった台詞を吐いたらおもしろいかも…と一瞬考えるも、度し難い腐臭が漂いそうだったのでやめて、トッテナムコートロード駅へ。そこで降りて大英博物館へ向かう。ロゼッタストーンとか、ミイラとかを見る。エジプトの神は太陽神ラーとか、オシリスとか、あと猫の女神のバステトなんてのがいてさあ、などといった、主に女神転生で培った知識を妻に披露したが、ゲームで得た知識だったので微妙な顔をされた。

 本当はもうちょっと色々見て廻ろうか?とも言っていたのだけれど、主に僕が珍しく疲労困憊だったため、食事をしてからホテルへ帰った。帰る前に、1時間1ポンドだかのインターネットカフェっぽいところでメールチェックやMixiチェックやMixi日記書きなどをする。たとい海を越えても、日記とインターネットは僕の心の応援団です。


パディントンのホテル
 気を張り詰めすぎ疲れたのでホテルに帰って就寝。したのだが、その時、階下より男性二人の「オウ…ア〜ォ…オゥ、オ〜〜ゥ!」という感じの非常に悩ましげな声がけっこうはっきり聞こえてきて、なんていうかロックやなと思いながら眠った。次の日朝食の席に(ホテルには宿泊客が集う朝食用の部屋があった)、ラブ光線を出しながら見つめあう二人の中年男性がいて、彼らの声が昨日の「オ〜〜〜ゥ!」と同じ声だったので微笑ましい気分とやれやれ気分が混ざりつつ、ああこの人たちかあ、と気付いた。