Down In The Tube Station At Midnight!

近況:こないだ読んだ本(磯崎新 『 ≪建築≫ という形式I』)に「地霊」って言葉がちょこちょこ出てきたので妙におもしろくてブッカブーというかゴグマゴグというかサルタヒコというか…。まあそれは建築の本なので、ゲニウス・ロキがどうこうとかで、そういった言葉が出てくるのも自然なのかもしれないんですが、ただのぬるいゲーオタかつメガテンっこの僕にとっては、「地霊主義」がどうこうとか言われても地霊って合体用だよねということが真っ先に思い出されてしまいます。となると、僕みたいな門外漢的な視点からすると、建築は <<建築>> を要請してしまうのだから云々…とか、 <<建築>> における「大きな物語」の消失が云々…とかの事々が書いてあるともう、「なんじゃそれ?」って面食らうばかりなんですけど、そういう書いてあることと実際の建物とを観比べるとおもしろそうなので今度いろいろ観てきたいなあとも思うのです。でも、実際に見ても、へーこれが?どうして?これにそんな意味あんの?マジで?みたいな感じで、たぶん僕の脳裏に巨大なはてながブックマークされてしまうことは容易に予想されますが…。

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●5月7日の日記
パディントン 〜 テートモダン
 ホテルで朝食を食べたあと、ブラックフライアーズまで地下鉄で移動。そっから橋を渡って辿り着くのが、元は火力発電所だったという一風変わった前歴を持つ建物、「テート・モダン」美術館である。デュシャンとか、そういやヤン・シュバンクマイエルもあっただろうか、あとロシアンかつアジってハニーなポスター(かっこいい)とか、ポップアートや、ピカソさんなど、数多の作品が展示されており、脳味噌様が刺激されるようでおもしろかった。ちなみに僕はこういうのとかこういうのとかこういう感じのものが好きです! あと、この絵がなんかガチャピンが燃えているみたいでたのしいと思う。

 ひとしきり観た後は、階上のカフェというかレストランで食事。胡麻っぽいソースがかかった、何かの葉っぱと茸が入ったペンネを食したのだが、美味しかったような微妙なようなでも美味しいかな?という印象。あと、値段の方は別段おいしくなかった印象だった。要するに高い。

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・サザーク 〜 ウォータールー 〜 ロンドンアクアリウム
 テートモダンを出て、近くにあるサザークの駅へ歩く。途中、陸橋の下、薄暗い煉瓦造りのトンネルの雰囲気が、シャーロックホームズとか切り裂きジャックとかが出てきそうな感じで、まあイギリスらしい感じだった。
 地下鉄でウォータールーの駅へ移動し、ロンドンアクアリウムへ向かう。テムズ河に面した建物の中、その水族館はあるのだが、この日は水族館のみならずその他の施設――観覧車など――にもお人がうじゃうじゃと群がっており、ちょっとした阿鼻叫喚の様相。折りしもこの時、通り雨がコンクリートを染めてゆくのさとばかりに降ったせいで道は大いに濡れており、ついでに河のほとりに生息する鳩も舞います、クルッポー、という混迷ぶりで、ここに二丁拳銃と横っ飛びが加わればジョン・ウーが完成すると言い切れるのではないだろうか。というか、ここまで読み進めてくれた方の中には、「こいつらはロンドン観光に来ているのに例えば宮殿とか行かず、何でわざわざ水族館に行ってるの?」という疑問が沸くかもしれないが、僕は水族館が大好きなので仕方ないのである。

サメ!

 水族館内の魚は、日本の水族館と若干違っていたのが興味深いポイントだった。ここでは、好きなサメも見れたので僕はご満悦。サメは、見るのがかなり好きだけど、見るとこわい。こわいけど見てしまう。よって好きというか、あの恐ろしげな顔とフォルムがたまりません…。あと、小さな女の子、いわゆるYOUJOが、水槽の硝子越しにぬうっと接近するサメを見てびびり、「SHARRRRRRRKK!!」と叫んでいたのが可愛らしかった。

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・ウォータールー 〜 チャリングクロスおよびレスタースクエア周辺 〜 アフタヌーン・ティー
 水族館を大いに楽しんだ後(主に僕が)、地下鉄で移動してアフタヌーンティーをしに行こうゼ的なことを妻が提案していたので、行くことに。二階建てバスを駆使しつつ、FORTNUM&MASONに移動した。

 確か値段は25ポンドくらい?で、あ、高い…と思ったし、店員さんの発音とか喋ることもなんだか丁寧だし、いる客も見たところミドルとかアッパーミドルな階級なのかな?という感じで、きっとファッキンとか言わないんだろうなあ、という感想を抱く。隣のテーブルに座っていた一家の、お嬢さんが顔はまあなかなかなのだけど非常に垢抜けない風采で、もさいカーディガン(モテカーディガンではない)とか着ていて妙に好印象。
 なお、頼んだのは、トラッディッショナルなアフタヌーンティーセットで、当初は、なんだ、たいした量ではないなあ、と思っていたのだけど、実際に食べてみると主にスコーンが重量級の威力を持つということが判明し、以後僕の胃を苛むことになるのだった…。

 その後はおみやげなどを買う。なお、ハイドパークに寄り、妻の留学時代の友人と会えたら会おうとしたのだけれど、会えず終いになってしまった。

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・劇場街 〜 オルドウイッチ
 そして、ミュージカルを見よう、ということを事前に考えていたので、レスタースクエアあたりの劇場街へと向かう。そういや僕は、ミュージカルというと「モージカル」、つまり、モーニング娘。が出演したミュージカルしか観たことがない、と、どう頭をフル稼働させてもシェイクしてもそういう記憶しか出てこないのだが、ここらでまあ違うミュージカル…いや、むしろこちらが正道だとは思うのだが…を見るのも悪くないだろう、ということなのだった。

 当初は、『レ・ミゼラブル』を観ようと思っていたのだけれど、チケット屋を覗いてみればチケット代の高騰、および売り切れという不可思議な現象が起こっており、変更を余儀なくされた。結果、選んだのは『FAME』。
FAME

 コヴェントガーデンから歩き、オルドウィッチシアターへ。実はこの頃には、慣れない言葉を話す環境に来て、常に気を張っていた所為か、疲労が相当なことになっていたので僕はふらふらだったのだけれど、それでもなんとかミュージカルを鑑賞する。疲労は主に、言葉は半分もわからないし、日本ならば軽く聞き逃すような情報まで「何か重要なことを言っているのではないか」とプレッシャーがかかっていたためだと思う。あと、いいかっこしようと気張っていたり、そういうのです!

 ミュージカルの方は、出演者の英語があんまり聞き取れなかったのだが、それでも結構内容を把握できたかもしれないなと思う。『FAME』は、芸術学校に入学した若者たちが夢を追う群像劇であり、例えば「俺たちはやってやるぜー♪夢へ向けてー♪」みたいな理解しやすい歌を歌ったりするし、話がわかりやすかったからだ。
 ただ、英語聞き取れねえなあ、でもまあいいか、なんてぼんやりしてたら、最後の方で登場人物が一人、いきなりドラッグのオーバードーズで死んだ、って展開になったりしていたので油断がならない。物語のラストには、出演者勢ぞろいで80年代っぽいヒットソングを歌い踊る、という場面があり、観客が立ち上がってかなりのっていたのが印象深かった。劇場街がある、というのもちょっとびっくりだし、恐らく何度も公演されているであろうミュージカルでみんな大盛り上がり、というのが何か、感覚の違いを感じた。

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・オルドウイッチ 〜 パディントン
 本当はこの後パブなりクラブなり、行こうか?とも思っていたけれど、身体および精神のやろうが「ムリムリ!ヤバイっすよ!マジで!止めておいた方がいいっすよ!っていうか止めて!」と大いに主張しやがったため、ホテルに戻った。晩飯は、もうレストランとかも無理っすわー、というので、ホテルの近くでテイクアウェイしたフィッシュアンドチップス(巨大)。レジのおっさんが妻に「日本から来たの?サンキューって日本語でどう言うんだっけ?」というので、彼女は「ありがとう」と答える。僕もフィッシュアンドチップスを頼み、「塩いる?かける?」と聞かれたので「いらないよ」と答えたところ、「なんでいらないの?」ってニコニコ聞かれて困った。ビコーズ…いやでも、今気持ち悪いから塩とかなんとなくいらないんだけど、なんて言おうか…と普段に輪をかけほとんど回転しない頭で考えているうちに、おっさんが「まあ塩はノーグッドだよね!わかるわかる。HAHAHA」みたいなことを言い出してその場は終わった。帰り際、日本語で、ありがとう、とおっさんに伝えて、店を出た。

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 2日目の日記ようやく終了。ところで、いやあ、なんていうんでしょう、よく「成田離婚」って言うじゃないですか? で、それ、以前はよくわからなかったのですが、今ならわかりますね!あれ、時と場合と相手によってはあり得るよ!やばいよ!成田離婚は想像上の生き物とかじゃないよ多分! ちなみにどっちかっていうと僕が離婚される方だと思います…。いや僕の場合されなかったけれども。

 その辺の所感はまた後日にー。