近況日記

 まったく、この世は、暗黒だ。暗黒でなければ残酷だ。残酷でもなければ少なくとも深刻なんだと思う。そう、今なら書けるのであって、書けるなら未だ。件のパンドラの箱から飛び出した蠢くものどもの、そのひとつひとつの細に入ったおぞましき様を伝えたいなら、それはつまり今の僕の心持をそのまま記すだけで良い。とまで書くとまあ、書き過ぎっていうか、誇張し過ぎっていうか、だいたい、カキ過ぎは身体に良くないと言われているし、ここからは身の丈、実際の心労サイズに沿って主に最近気分が悪いことばかり起こるという話をしたい。主にというか9割9部9厘以上仕事のことで気分が悪いだけだけど。ど。それにしても、日記の書き過ぎはカキ過ぎとまずたいして性質が変わらない事にあなたは気付いているだろうか?

 僕が乗るバスは深夜、目黒の家具屋街を通り、家にある椅子と食器棚を買ったあの家具屋たちを横目に、第三京浜へと至る。家に帰る途中でこの日記を書きはじめた。ちなみに、書き終えたのは2日後である。ええと、仕事の話だっけか。妙な力学が働いている場に対し、力が及ばないというのは悔しいものだなあ、と思いながら、流れを止められないのもまたもどかしい。いきおい自分のミスも増え、反省の日々であり、つまり何が言いたいかと言うと、売上は、人を、幸せにしないと思います!

 というわけで、せつない話は止めにして、お気に入りの音楽とかの話にしたいと思う。あれはリリンの生み出した文化の極みなので、近頃、ヘヴィメタルを聞いていると癒される自分がいるんですけど、いやほんと、メタルはいいなあ、ええわあ、と久々に思ってる時期が到来したって感じです。SLAYERとか、Amorphisとか、Mekong Deltaとか、を聴いてて萌える。ギターのザクザク音がここまで心地いいなんて忘れてました。とはいえメタルの他にもちょこちょこ聴いていて、最近買って一番良かったのはPrefuse 73でした。あと最近というか4ヶ月くらい前に買ったbeatplanetというドイツ語で歌ってたからたぶんドイツのグループだと思うんだけど、そいつらも60〜70年代とか歌謡曲とかリスペクトな感じでうきうきできる。それと全然最近じゃないけど、パワーポップ系で2年位前から聞き続けているのがTHE FANSの『YOU DON'T LIVE HERE ANYMORE』。あれはテンション上がる。そういえばこの「ダイアリー」のidの元ネタであるFarrahの新作が来月出るらしいので買おうと思ってます。

 ってなんかものすごく久々に音楽の話を書いた気がする。でも年を重ねるごとに、人より豊富な音楽知識を目指そうとかの欲望は割とどうでもよくなってきているかもしれない。かといって、一歩引きましたよ的スタンスを披露したいわけではないんですが、まあそもそも知識追うほうではないですけどそれも薄くなってきたかなあと思う次第。あと例に漏れずというかハルヒは観たし読みました。憂鬱とか退屈とか消失とか陰謀とか、DVDも朝比奈ミクルの冒険とあと一個かった。さらに続けて買ってしまうやもしれない。ちなみに僕的にはハルヒ長門>みくるって感じです。そんでゲーム、ペルソナ3に話を移すなら、ゆかり>>風花≧会長≧結子>アイギスってところでしょうか。この順位付け、なんとなく僕の傾向が見えるような見えないような、見えたところでどうしようもない気がするけれど、そうそう、もう一人メガネの女がいた気がするがあいつは嫌です。あいつ、ちょっとばかし話しかけなかっただけで、なんか機嫌を悪くして僕のことをまるで汚いものを見るような目で見るんだ…。いや、ペルソナ3はすごく久々に没頭したゲームで、ハルヒといい、なんでしょうね、あらかじめ失われた青春時代の埋め合わせってやつでしょうか。

 それと、最近、横浜美術館の「アイドル!」展に行った。
http://www.yaf.or.jp/yma/exhibition/2006/special/03_aidol/
 NHKが制作した山口百恵の特番がとてもおもしろくて、他の展示がかすみまくったのが正直な感想。静止写真だけで構成される特番、という企画を通した時点で勝ってる。あれ、企画・構成通した人はやっぱすごい気持ちよかったのかなあ。なんというか、アイドルって、迫ってくるアイドル性(ってなあに?というのは一旦置いて)が無いと途端におもしろくないっていうか、アイドル性を露わにしたい時に美術館的というか美術手帖的なアプローチをしても、たいていの場合いくらしょぼかろうが実際のアイドルには敵わないのではないか。そういう意味で、他の展示でおもしろく観ることができたのは結局『きらりん☆レボリューション』の原稿だったり、ラブ&ベリーのカード一覧だったり、篠山紀信が撮影した明星なんかの表紙集と、草間彌生のよく聞き取れない朗読と、ギリギリKATHYか?てとこだったけど、あれならウテナの影絵少女のがいいとか思った。まあ、全体的に言って要するに、比べるなら、アートな映像作品でどうこうするより蜷川実花の撮ったパリス・ヒルトンの方がやっぱいいかなあ、とかそれだけなんですけど。「●●の●●性を浮き彫りにし、別の方向で捉え直してみた」という、よくありそうな、批評的視点によって云々…みたいな頭よさげなことは、実際にはよっぽどじゃないと寒々しい結果に終わることが多いと思うけど、アイドルはそれが顕著だなあ、と。アイドルを語るという場合、それが周縁を巡ってしまうという必然的結果が起こる上にさらにそれがおもしろくならない率が高いというか、なんて言ったらいいのか難しいけど、ある意味部分的な落とし込みが他より難しいんじゃないか?という気がします。

 そんで本的には、近所の古本屋がいい感じ。前住んでたところの近くのブックオフもだいぶお世話になったけど、今の近所の古本屋も横浜の片田舎にある割になかなか品揃えがいいかもしれません。アルトー全集だとか三一書房版の夢野久作全集とかがあって、高校生くらいのときはこの古本屋にマンガを買いに来てただけだったから気付かなかったけど、改めて見直してみるとなかなかいい。それとここ数ヶ月で読んだのでおもしろかったのは、ジャネット・ウィンターソンの『オレンジだけが果物じゃない』。<日記>っぽい文体と諧謔性が最高でした。それと、W・G・ゼーバルトの『アウステルリッツ』も良かった。で、ついでに言うと、近頃ケーブルテレビでアニメばっか観ている。その際、昔観ていたものに回帰してゆくというか、シティーハンターとかめぞん一刻とかうる星やつらとか、を観るとすごく落ち着く。すごくいいと思う。かくして嗜好はループしてゆくのであって、いよいよ真剣に年だなあ、と感じるのです。

 最初は流れに沿ってなんか書こうと思ったけど、途中から考えるのめんどくなって素の日記になりました。こういうのは、たまに書くと自分の中ではとてもオモシロイ。