NHKに捧げる歌

やはり先日更新した日記に関してはいろいろ問題も多く、N.H.K.つまり日本平謝り協会にようこそ!といった様子で内容に関してWeb上で謝罪を敢行したい。具体的に言うと、確定申告でもたつき妻になじられたことに対し、「実際の勢いより4割増しくらいで妻の怒りを誇張した」「“好きな女性になじられること興奮する”と自分の嗜好を日記のために誇張した」あたりが謝罪ポイントであって、すでに妻に怒られたのだが改めてここに謝罪の意を表明したい。


「まったく、あなたたち日記書きは嘘ばかり!いいえ、日記がおもしろくなればいくらだって嘘をついていい、と思っているんだわ……フン(鼻を鳴らす)、まあ、あなたたちがそうまでして書いた<日記>だって、おおよそろくでもないゴミ文章で、おもしろくもなんともないんですけどね!(冷笑し肩をすくめる)……そう、あなたたち日記書き、いや、あなたは、日記と現実の区別がついてないのよ!!」と妻は言うので、これはまずい、不和を招くのはよろしくない、と思った僕は彼女を真摯な眼差しで見つめ、ああ、ハニー……僕が悪かったよ、確かに、僕は誇張して物事を書き連ねていたかもしれない、それがおもしろいかどうかすらわからないままにね……でもお願いだから、どうか日記のことでそんなアメリカザリガニのように引かないでおくれ、気の抜けた筑紫哲也みたようなことを言わないでおくれ……とそっと髪を撫でて愛を囁く、といった、アメリカにおいて低IQ層御用達のCATV局と名高いFOX CHANNELが誇る昼メロ的展開に持ち込むことによって事なきを得たのであった。


が、しかし。
その時既に、もっと興味深い事象が我が家にニャルラトホテプのように忍び寄っていることを僕らは知る由もなかったのだ。


その事象とは、近々、隣に「こころのクリニックホスピタル」(クリニックだとばかり思ってたら、こないだ見たら普通に「ホスピタル」って書いてありました)が新設されることが明らかになったことである。また、クリニック、と思いつつ現物を見ると相当でかい建物だったので、入院施設もありそう、と思っていたら、ホスピタルだから普通に病棟があるみたいなので、これは「こころの」という平仮名書きが醸し出す言葉面の柔らかさをハードな方向に振り切ってしまうくらいの人も訪れ収容される建物なのではないか、と思われる。そもそも以前見た工事現場の看板によれば、そこは、「さくらクリニック」が建設予定、となっていたはずなのだが、「さくら」がいつの間にか「こころ」に変化するマジックショウが行われ、「クリニック」は「ホスピタル」へポケモン的に進化していた。そういえばマンション購入時、確かに「隣に病院が建つ」と売主から聞いてはいて、「へー、風邪とかひいたときに病院近いと便利だねー」くらいの話をしていたのだが、こころの病院であることは言われておらず、それは一体……という感じに、さまざまな方向からこの事象を考察すると、我々はある意味事実を隠蔽されていたことになる。まあ、こころの風邪の時にはちょう便利なホスピタルだしお世話になりたい、と思うのだが、しかしこれは住人が揉めるのではないか?


僕は危惧している。ご存じない方に言っておくと、マンションの住民というか地域住民がもめると、とても怖い。だから、危惧している。じっさい、マンションの自治総会、みたいなものに本日出席したのだが、やはり他人に厳しそうな人が多くて、地域住民の集まりというのはそういうところがちょっと怖く…いや、本当に怖いのであって、正確に言えば、他人に厳しそうな人が「多い」というか、たいてい、住人数が多くなってくると「声が大きい人が何名か、あるいはけっこういて」、その人たちは話すときに誰だか何に対してだかわからないが「やわらかに皮肉を言う」か「穏やかさを装いながらキレている」か、あるいは「はっきりと詰問口調」なのが怖いのである。会場となっていた「多目的ルーム」から僕は、逃げるように帰ってきて、この日記を書いた。みんな怒りすぎである。みんなのこころに、悪い気が満ちているとしか思えない。みんな、もっと近くに林立するラブホの入り口にある噴水に近づいて、マイナスイオンをどしどし摂取すればいいのに……。


だいたい、我が家周辺は元々、ピースフルな土地なのだから、マンション集会であんなにピリピリした人間が多いのはおかしいのでは? 周辺にはラブホテル街があり、そしてラブホテル街を抜けたところに老人ホームもあり、その向こうには結婚式場もあって、おまけに「オルタナティブ生活館」といういかにもオルタナティブな名前の、その中に集う人々の目の輝きもオルタナティブなのでうっかり入り込むと人生がオルタナ化してしまいそう、という理由で足を踏み入れたくない雰囲気を醸し出している建物まであって、人生と愛のエッセンスが不可分に一極集中している土地なんである。さらに言えば、どうも健康が適用される部位が男性の下半身に集中しているらしいのが不思議なのだが、ともあれ、あまり利用すると家計とか家庭とかが壊れそうな単位の結構な金銭を支払えば男性の下半身に健康を届けてくれる、という、たぶんどこかの慈善団体に所属するお姉さんたちだって近隣に多く闊歩しているのが特徴の、いたってラブリーな土地柄なのだ。
愛と生活と健康……それさえあれば、人間、他には何も要らないんじゃん?とされているのだから、そんなものが一緒くたに揃っているこの我が家周辺は、実に、素敵じゃないか?と思うのだが、そしてそのお姉さんたちが何故男性の健康のみを届けているのか?ということに関しては近隣に数多く存在するラブホテル群になにやら密接かつ濃密な繋がりや大人の秘密とかがあるらしいのだが、そのうえで「こころの病院」も出来るというのだから、我々住人はもう何も恐れるものはないと言える。デリバリーヘルスもあればメンタルヘルスのケアもバッチリ!神奈川でも有数のパワースポットにエヴォリューションするのであって、つまり我が家周辺は約束の地である、とも言える。それなのに、この先、何の不満などあろうか……?そしていったい、なんであんなに、マンションの集会にはイライラしてる人とか上から目線で物を話す人が多いのか……? 誰か答えて欲しい。そして、僕の代わりにマンションの自治会に出たり数年後にやってくるらしい持ち回りの役員をやったりして欲しいのである。だってあの人たち怖いんだもん。