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■「大人になれば」
いい加減、大人にならなくては……と思います。つい先だっても、部下と打ち合わせをするつもりが寝過ごし、上司としてどうか…的なことをやらかしてしまいました。その日、いつも僕より早く出社する妻が僕を起こそうとしたらしいのですが、僕はまるっきり夢の世界の住人と化していたので、その際は「ふみゅうー(-ω-)」なぞという、東京ドーム7杯分のマイナスイオン効果をもたらしそうな声をあげるに留まり起床することが出来ませんでした。夢幻のセカイで薄れる意識の中、もふもふとした形状の人外獣を想定させるような声が醸し出す可愛らしさで妻を懐柔することができたのでは?とひとり悦に入っていたのですが、そんな場合ではなかった、というわけです……。
それと、オトナなのでそろそろ安物買いをやめなくては、とも思います。スーパーで買い物とかすごく好きなのでスーパーの話をしますと、近所では、プチブルな値段設定で「グローバルスタンダード」な品を売る、“ようこそ!世界の味のリトルワールド”こと「成城石井」、お客様、株主様、お取引先様、地域社会が企業と共に豊かになるという共存共栄を目指しているらしい「東急ストア」、郊外型巨大店舗を持ち、小さな子供がいる若夫婦や熟年向けのテーマパーク的な店内が特徴、エンジョイライフを提案するディスカウントストア「ESPOT」などのスーパーが乱立しシノギを削っているのですが、とりわけ注目したいのはエブリデイロープライスが信条の「OKストア」でしょう。
特徴を挙げてゆくといろいろあるのですが、とりあえずものすごく安い。あと光熱費のレベルから徹底したコスト管理を行っていると思われるため、かなり薄暗い店内もラブリーです。日常の買い物でクールなブレードランナー感覚を味わえるスポットって貴重ですし、周辺住民に人気なのも納得。そして、効率化を重視した狭いスペースには客が必然的にひしめき合い、客同士がぶつかっても謝ることなど無いというハートフルな光景がよく見られます。また、インターネットの書き込みでも、近所のOKストア●●店は、店員の接客態度がとってもワイルド!などといった高い評判を得ているようですが、これも、一般的に言ってエブリデイロープライスを標榜する企業の社員はエブリデイアイデンティティクライシスに直面させられていることを考えれば妥当な結果と言えるでしょう。そういえば、ビックカメラとかも、社員が事務所に入るときには床に貼られた幸せの黄色いテープの前で直立不動し、大声で今日達成するべき目標内容を発してからでないと入れない、なんて、激烈な環境で人間が頑張るのが萌え!な皆さんにもたまらない魅力があるそうですよ。
と、もしかして底意地の悪い人はいままでの文章からOKストア、およびビックカメラなどに対する悪い印象を受け取ってしまうかもしれませんが、それは心が汚れている証拠。そんなアナタは、あの頃のピュアな気持ちを思い出してみて。この文章はどこをどう読んでも、庶民の味方になるにはそれだけ厳しい修行を積まなければいけないので大変だな、ということに対する感服を表現しています。
とはいえ、あまりに製品が安すぎるのも考えもの。OKストアで買った肉は骨だらけで食べるのがたいへんだったり、キャベツからナメクジさんがハロニチワ、なんてこともあるわけで、それってある意味ロハスと言えなくも無いですが……ナメクジさんはさすがにちょっと気持ち悪かったので、これからは成城石井の外れにある有機野菜や身体によさげな肉魚しか売ってない「こだわり市場」で食材を買い、エブリデイロープライスに踊らされる人々を憎悪して生きてゆく聖戦に身を投じたいと思います。「こだわり市場」なら、たとえナメクジさんが出ても、「安いから」じゃなくて、「こだわりの結果」として受け止められそうですからね…。だから、もう安物買いなんてしない!だって、極左から極右へのパラダイムシフトが比較的容易なように、OKストアからこだわり市場への転向もすぐにできるはず。そう、お金さえあれば……。