会社に幽霊が出る。資本主義という名の幽霊である。

 日付の上では昨日、夜23時ほど………草木もそろそろ眠る準備をしていようかという頃合におうちに帰ろうとしたまさにその刹那、いや、刹那というには帰ろうと最初に思ってから時間が過ぎていたから的確ではない言い方だけれど、心象的には刹那な感じで、あとまあ刹那って言うとなにやらかっこいいしね、だから刹那と言ってみたのです、と、ホントはかっこよくもなんともないんだけれど、無理矢理思い込めばかっこいいんじゃあないかなあ、なんてことも僕の盆暗脳は弾き出すわけだから、実際には15分ほど経っていようが刹那という言の葉を断じて適用します。で、その、刹那に、あれだ、喰らいant様っていう、あれはなんていうのかな、簡単に言うと西洋で言うところの悪魔、東洋で言うところの仏敵といった趣の存在から電話とかいう通信手段によって突然、「アスノアサマデニヤッテイタダケマスカ」という、何やら解読困難な呪文が送られてきました。私は、といえば、おそらく並の程度には日本語に不自由していないことかと密かに自負しているのですが…呪文の解読はいかんせん専門ではなく、いささか狼狽いたしました(一人称が“私”に変化しているのも狼狽の証です)。皆さんご存知かとは思いますが、会社という場所はその磁場の都合上、不思議なことがよく起こる場所なのです。

 さてそのように呪文は解読困難であったのですが、そこは呪文の恐ろしさ、解読の可否を問わず私の身体は呪力により会社に幽閉され、椅子に縛られてしまったのでした…。私も持てる力を振り絞り、抵抗を試みたのですが、クライ暗屠様より今度はメールとかいう通信手段を介して「ナニトゾヨロシクオネガイシマス」といった駄目押しの式神が送られてきてしまいましたので、抵抗叶わず、以来数時間、椅子とぴったり不本意な愛を交わしている次第です。いや、先ほどから私も、クライアント様のご機嫌に左右される<サラリーマン生命力>との引き換えを条件として発動する魔術「モウシワケアリマセン」「ノウキニカンシテハゴソウダンサセテクダサイ」などを放つ機会を伺っているのですが…これがなかなか……なかなかどうして………どうしてこんなことに…………。